台湾の詹徳勝老師は、太極拳法の創始者である張 三豊 (1247~ 没年不詳)が創始した13の動作を元に、それまでの伝統的かつ繁雑で重複の多い太極拳を集約・整理して、すべての基本を含む十三式太極拳を作り上げました。動作は簡単であり、短い時間で練習ができるので、効果は絶大です。現在台湾で最も普及している太極拳です。十三式太極拳は、「気の流れ」を意識しながら行うことで、経絡を通る「気の流れ」をスムーズにし、ツボを刺激して健康効果が得られます。静かで深い呼吸法により、副交感神経が刺激され、心身がリラックスします。
意識先行の太極拳の動きは、右脳の活性化につながり、脳の老化を防ぎます。ゆったりと腰が中心の動きと下腹を使う深い呼吸は内臓の働きを活発にします。
このように心身の健康増進に役立つ太極拳ですが、単なる健康体操ではありません。それは太極拳は武術であるということです。武とは、「戈(ホコ)を止める」という漢字の意味の通り、その根本理念は他者を攻めることではなく、争いを防ぎ平和を守ることです。そして、自身を護ることです。武術の目的が自身の生存であることから、闘いにおける最も合理的な身体の動かし方や意識の持ち方、心の安定が必然となります。太極拳は、そのような武術面から自身の身体だけではなく、心をも健全に柔軟にする内面重視の拳法です。そして個人の心身健康と人格修養とともに、対人関係や社会を良くすることで争いを防ぐという武の根本理念を持っています。
その結果、健康増進にも有効な身体操作法や呼吸、意識、経絡の応用が出来上がってきました。現在私たちは受け継がれてきたその太極拳の精髄を享受し、健身法や護身法に役立てているのです。
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十三式太極拳は八方位に左右均等に八法五行の基礎動作を行います。そして経絡をつなぐ気の流れを意識した動作に呼吸を合わせます。気の流れと呼吸を重視することから「気功太極拳」とも、「内功太極拳」とも言います。
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